生徒たちが主体となって、学校行事でHADOを導入。 運動が苦手な子もみんなが目をキラキラさせた大会に
スポーツ庁の調査によると運動嫌いの生徒は男女共に1~2割、また、運動習慣のある子とない子の二極化が進んでいるといいます。そんな中、多くの学校では学校行事として球技大会やスポーツ大会が行われていますが、個々の運動能力には差があり輝ける生徒たちが限られているのが実状。みんなが平等に楽しめるスポーツ大会はできないか…。コロナ禍をきっかけに新たな道を模索しはじめた学校がありました。
1936年(昭和11年)に開校した歴史ある気風と、穏やかで落ち着いた生徒の多い東京都立豊島高等学校(以下、豊島高校)。理数教育に重点をいれ、豊島高校にしかない授業や特色ある行事が積極的に行われています。こちらの学校でも夏と冬、年2回のクラスマッチと称したクラス対抗の球技大会が行われていました。しかしコロナ禍で状況は一変し、ほとんどの行事が中止に。
「クラスマッチをどうにか行えないか」と模索していく中で、「運動が苦手な生徒や、普段大人しい生徒たちもみんなで楽しめる大会にできないだろうか」と、これまで感じていた課題に着目。知人の紹介からHADOと出会い、2年連続でクラスマッチにHADOを導入された東京都立豊島高等学校の沖野弘尚先生にお話を伺いました。
Q 球技大会にHADOを導入された経緯を教えてください。
これまでも球技大会を見ていて「本校の実状にあっていないな」と感じていました。2〜3割の生徒は楽しんでいるけれど、他の生徒はあまり楽しめていない様子だったので、改善したいと思っていました。「みんなの個性が輝ける環境を作ってあげたい」という思いからe-Sportsなどを検討していたところコロナ禍になり、行事が軒並み中止に。「なんとかして3学期の最後に楽しい思い出を作ってあげたい」と模索しはじめたところ、知り合いからHADOを紹介してもらい「これだ!」と。
Q HADOのどういったところにメリットを感じましたか?
まずは、非接触で行えるので、コロナ禍での制限が全てクリアになるのがメリットに感じました。あとは、最先端の科学技術を使っていますし、他校でまだ取り入れてないARスポーツだということが大きかったです。コロナによってこれまでの常識が覆されましたので、新しいことにチャレンジできる絶好のタイミングでした。昨年は学校の方にHADO機材を持ち込んで行い、今年はお台場のHADO ARENAへ。1〜2年生総勢540名を2日間午前午後に分けてみっちりと試合を行うことができました。
Q ほかの教員の先生方は「HADO」と聞いて、どのような反応でしたか?
「本当にできるのか?」「費用は?」と心配される声ばかりでしたが、そこは担当者である私が「できます」と言い切りました(笑)。周囲の教師仲間からも相談を受けましたが、その多くは「学校の理解が得られない」といったものでした。そこは一つ一つ課題を解決していく必要があります。本校の場合、費用面に関しては東京都の「子供を笑顔にするプロジェクト」を活用させてもらいました。最先端科学の体験になるので、補助金や助成金などもうまく活用すると導入への近道になると思います。
Q HADOを導入することで、生徒たちにどんな効果を期待しましたか?
生徒が主体的に運営に参加するので、成功も失敗も含めて、多くの経験を得られることです。実行委員を有志で募り、対戦カードを自分たちで決め、現場での司会進行なども行いました。実行委員はクラスでの人数制限を決めることなく、やりたい子はみんな参加してもらい、それぞれの持っている力を最大限に活かしてもらっています。
Q 実際に体験した子どもたちはどんな反応でしたか?
とにかくみんな楽しそうでした!特に、運動が苦手な子や運動嫌いの子、普段からおとなしめの生徒たちが、目をキラキラさせているはしゃいでいる姿を見ると、心から嬉しくなりました。クラスでおそろいのTシャツを着て、チーム名も決めて…、応援の方も盛り上がっていましたよ。
Q HADOを通じて、子どもたちにはどんな成長がみられましたか?
「自分ってこんなに人前でもはしゃげるんだ!」と気づいた生徒がいました。思春期真っただ中の子どもたちにとって、自分の新しい一面に出会えることができたことは貴重な体験です。あと、いつも学校を毎日遅刻してくる生徒がいるんですが、その子が「昨日の夜から楽しみで仕方ないんです!」って一番乗りで集合場所に登場したのが、もうかわいくて。これからも多様な個性をもつ生徒たちが、それぞれで輝ける場所を用意したいな、と思いました。
Q こうすればよかった、など改善点はありますか?
もう少し早くに実行委員を募って、運営会社であるmeleapさんと生徒が密に連絡を取り合えるようになれば経験値も高くなりますし、学校以外との社会の接点も深まります。それに、生徒たちからのアイデアもたくさん形にできたなと思います。
Q 「現場はやりたいけど、なかなか理解を得られない」そういった方にアドバイスを
とにかく担当教員の熱量が大事です。やりたい気持ちを大切にして、いろんな人に自分の想いを話をしていくと、思わぬアイデアをもらえることがあります。私がe-Sportsの相談をしていたらHADOに辿り着いたように。大人も子どもも「(コロナだから)仕方ないよね」というようなある種の諦めムードが漂っていましたが、それでは学校の雰囲気にも出てきてしまいますよね。できない理由を並べるのではなく、どうすればできるようになるかを考えて、人に相談していきましょう!
(聞き手:ライター飯田りえ)
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