eスポーツイベントの企画方法とは?企業・商業施設・自治体で開催するポイントを解説

eスポーツイベントの企画は、目的の設定からゲームタイトルの選定、会場や機材の手配、依頼先の選び方まで決めることが多く、初めて任された担当者ほど手が止まりやすい分野です。
競技として勝敗を競う大会にするのか、来場者がその場で遊べる体験型にするのかによって、必要な準備も費用の考え方も別物になります。
背景には市場の広がりがあります。
日本eスポーツ協会(JESU)の推計では、2024年の国内eスポーツ市場規模は前年比9.9%増の約161億円で、2026年には200億円を超えると見込まれています。
2026年9月に開幕する第20回アジア競技大会(愛知・名古屋)でも、eスポーツは正式なメダル競技として11種目13タイトルで実施される予定です。
企業や商業施設、自治体からの相談が増えている背景には、こうした流れがあります。
この記事では、ARスポーツ「HADO」を世界40カ国で展開し、法人向けイベントに携わってきた立場から、eスポーツイベントの企画方法を8つのステップで整理しました。
会場や機材の準備、企業・商業施設・自治体それぞれのポイント、体験型eスポーツという選択肢、イベント会社の選び方まで順に紹介します。
eスポーツイベントの企画方法と手順

eスポーツイベントの企画は、目的と参加者を先に決め、形式・タイトル・会場・運営体制の順に固めていくのが基本の流れです。
具体的には、次の8つのステップで進めます。
- 開催目的と成果指標を決める
- 参加する人と観る人の層を決める
- 競技大会型か体験型かを選ぶ
- ゲームタイトルを選び、利用条件を確認する
- 大会形式とタイムテーブルを組む
- 会場・機材・運営体制を手配する
- 告知して参加者を集める
- 開催後に振り返り、次回につなげる
順番を入れ替えると後戻りが増えます。
特に目的とタイトルの決定は、会場の条件や必要な機材を左右するため、先に固めましょう。
1. 開催目的と成果指標を決める
最初に決めるのは、なぜ開催するのかという目的と、達成できたかを測る指標です。
ここが曖昧なまま機材やゲームの話から入ると、一部のゲーム好きだけが盛り上がる会になりやすくなります。
開催主体ごとに、目的と指標の例を整理しました。
| 開催主体 | よくある目的 | 成果指標の例 |
| 企業 | 部署を越えた交流、エンゲージメント向上 | 参加率、満足度、部署混成チームの数 |
| 商業施設 | 新規来館、館内回遊、滞在時間の延長 | 来場者数、体験者数、会員登録数 |
| 自治体・地域団体 | 多世代交流、若年層との接点づくり、健康づくり | 参加者の年代構成、リピート率、アンケート評価 |
eスポーツという看板だけで人が集まるわけではありません。
参加してほしい人の動機から逆算することが、企画の出発点になります。
2. 参加する人と観る人の層を決める
参加者は、プレイする人、観戦する人、通りがかりで立ち寄る人の3つに分けて考えます。
この3つを分けておくと、当日の会場レイアウトや進行の設計がぶれません。
確認したい項目は次のとおりです。
- ゲーム経験の有無と、経験者と未経験者のおおよその比率
- 年齢層。ゲームソフトの対象年齢(CEROレーティング)も確認します
- 想定人数と、そのうち実際にプレイする人数
- 参加が任意か、業務の一環かという位置づけ
観戦者を「参加できなかった人」として扱うと、会場の熱量が一部に偏ります。
観る側の楽しみ方まで含めて人数を見積もりましょう。
3. 競技大会型か体験型かを選ぶ
勝敗を競う競技大会型と、来場者がその場で遊ぶ体験型のどちらを軸にするかを決めます。
目的によって向き不向きが分かれるため、ここで迷ったときは指標に立ち返ると判断しやすくなります。
- 交流やチームづくり、コミュニティの形成が目的なら、競技大会型が向いています
- 集客や多世代の参加が目的なら、体験型のほうが幅広い層を巻き込めます
- 両方を狙う場合は、大会と体験コーナーを併催する方法もあります
体験型の詳しい特徴と、競技大会型との違いは記事の後半で整理しました。
4. ゲームタイトルを選び、利用条件を確認する
タイトルは操作の簡単さと観戦のわかりやすさで選び、そのうえで主催者の立場で使えるかを必ず確認します。
選定の基準は、操作の単純さ、1試合の長さ、勝敗が観客にも伝わるか、対象年齢、必要な機材の5点です。
| ジャンル | 特徴 | イベントでの使いやすさ |
| パズル | ルールが単純で1試合が短い | 初心者が多い場でも進行しやすい |
| レース | 操作が直感的で順位が一目でわかる | 観戦者も状況を追いやすい |
| 格闘 | 1対1の駆け引きが明確 | 経験差が出やすく、初心者への配慮が必要 |
| スポーツ | 現実の競技に近く説明が短く済む | 世代を問わず入りやすい |
| 体感型(ARなど) | 体を動かして操作する | 機材とスペースが必要だが、見ていても伝わる |
| 創作・協力型 | 勝敗より共同作業を楽しむ | 親子向けやワークショップに向く |
体感型と創作・協力型は、まだ採用例が多くありません。
ゲームに縁のなかった層を呼び込みたい企画で、選択肢として検討する価値があります。
タイトルが決まったら、利用条件を確認します。
ゲーム会社は、個人が開くコミュニティ大会と、法人や自治体が主催するイベントとで扱いを分けている場合があるためです。
条件は改定されるため、企画の段階で各社の公式情報にあたり、判断が難しいときは問い合わせ窓口に相談しましょう。
日本eスポーツ協会(JESU)も、著作権や法令のポイントをまとめた大会開催マニュアルを公開しています。
ジャンルごとの特徴や代表的な競技タイトルは、eスポーツの種目とは?代表的なジャンルや競技タイトルをわかりやすく紹介でも整理しました。
5. 大会形式とタイムテーブルを組む
参加人数と持ち時間から大会形式を決め、練習とルール説明を含めた進行表を作ります。
形式によって、1人あたりの試合数と全体の所要時間が大きく変わるためです。
| 形式 | 進め方 | 向いている場面 | 注意点 |
| トーナメント戦 | 敗れた時点で終了 | 短時間で優勝を決めたい | 初戦敗退者の出番が少ない |
| リーグ戦 | 全チームと対戦 | 少人数でたくさん遊びたい | 参加数が増えると時間が伸びる |
| リーグ戦+決勝トーナメント | 予選の上位が決勝へ進む | 社内大会、地域大会 | 進行管理が複雑になりやすい |
| スコアアタック | 一人ずつ記録を競う | 商業施設の体験会 | 待ち時間の設計が必要 |
| 団体戦 | 企業や地域の単位で競う | 企業間交流、地域対抗 | チーム編成の公平性に配慮する |
| 複数種目制 | 画面で遊ぶ種目と体を動かす種目を組み合わせる | 参加層が幅広いイベント | 種目ごとに会場設営が必要 |
スコアアタックと複数種目制は、勝ち上がれなかった人が早々に手持ち無沙汰になる問題を避けられる点で注目されています。
タイムテーブルは、受付、開会とルール説明、練習、予選、休憩、決勝、表彰、閉会という並びが基本です。
6. 会場・機材・運営体制を手配する
会場、回線、機材、人員の順に押さえると、条件の食い違いによる手戻りを防げます。
会場が決まらないと、使える電源や回線、搬入の可否が確定しないためです。
外部への委託を検討する目安は、次の3点です。
- 配信を行うかどうか
- 参加者が多く、複数の進行を同時に動かすかどうか
- 社内に機材と回線を扱える担当がいるかどうか
いずれかに当てはまる場合は、企画の初期段階でイベント会社に相談したほうが、会場探しの条件も定まりやすくなります。
個別の準備項目は次章で詳しく紹介します。
7. 告知して参加者を集める
告知では、参加方法とあわせて「観るだけの参加もできる」ことを明記します。
プレイに自信がない人ほど、この一文があるかどうかで申し込みが変わるためです。
告知の手段は、開催主体によって変わります。
- 企業なら、社内ポータルやチャット、事前のチーム発表
- 商業施設なら、館内サイネージ、SNS、公式アプリ
- 自治体や地域団体なら、広報誌、学校を通じた案内、地域団体への依頼
あわせて、エントリーの締切とキャンセルの扱い、当日の撮影や配信の可否についても、申し込みの段階で伝えておきましょう。
ルール解説の動画を事前に共有しておくと、当日の説明時間を短縮できます。
8. 開催後に振り返り、次回につなげる
終了直後にアンケートを取り、最初に決めた成果指標と照らし合わせて記録に残します。
時間が経つほど回答率も記憶の解像度も下がるため、会場を出る前に回答してもらう形が理想です。
設問は、満足度だけでなく目的に沿ったものを用意します。
交流が目的なら「初めて話した人がいたか」、集客が目的なら「来館のきっかけになったか」という聞き方が有効です。
運営側でも、進行の遅れやトラブルの内容を記録しておくと、次回の準備が短くなります。
自治体の事業では、この記録が次年度の予算を説明する根拠にもなります。
eスポーツイベントに必要な準備

会場・機材・回線・スタッフ・配信の5つを、プレイする人と観る人の両方の目線で準備しましょう。
どれか1つが欠けると、当日の進行が止まります。
会場はプレイ・観戦・待機のスペースを分けて考える
会場選びでは、プレイするスペースだけでなく、観戦と待機の場所まで含めて広さを見ます。
プレイ席だけで図面を引くと、当日に人があふれて動線が詰まってしまいます。
| 会場 | 向いているイベント | 確認したい点 |
| 社内の会議室 | 少人数の交流会、就業後の開催 | 電源の数、机の搬出、音漏れ |
| ホール・貸会議室 | 全社イベント、周年行事 | 搬入経路、回線、控室 |
| eスポーツ施設 | 機材を持たずに開く大会 | 予約の取りやすさ、貸切の可否 |
| 商業施設の広場 | 集客を狙う体験会 | 通行動線、音量、営業時間 |
| 体育館・公共施設 | 地域イベント、学校行事 | 回線の有無、床の養生、照明 |
下見では、電源の容量とコンセントの位置、回線の種類、搬入経路、観戦スペース、控室や待機列の場所、照明と音の条件、設営に使える時間を確認します。
図面だけで判断せず、当日と同じ時間帯に一度足を運びましょう。
機材はプレイ用と観戦・配信用に分けて揃える
機材はプレイ用と観戦・配信用に分けて考え、予備機やケーブルまで含めて数を決めます。
台数の不足は待ち時間に直結するため、体験型では特に慎重に見積もってください。
- プレイ用:ゲーム機やPC、コントローラー、モニター、ヘッドセット
- 観戦用:大型モニターやプロジェクター、スピーカー
- 配信用:カメラ、キャプチャー機器、スイッチャー、マイク、配信用PC
- 共通:電源タップ、延長ケーブル、養生テープ、予備機
ソフトのアップデートとアカウントの準備は前日までに済ませます。
当日の更新待ちで開始が遅れる事故は、想像以上によく起きるものです。
ネットワークは有線接続と独立した回線を基本にする
対戦と配信に使う回線は有線でつなぎ、来場者用のWi-Fiとは分けて確保します。
イベント会社の中には、独立したインターネット回線が必要になるケースが多いとして、回線の手配まで請け負うところもあります。
当日の通信トラブルを避けるために、次の3点を押さえましょう。
- 本番と同じ機材、同じ時間帯でテストを行う
- 予備のモバイル回線を用意する
- 通信が切れた場合の再試合のルールを事前に決めておく
オフラインで完結するタイトルを選べば、回線のリスクそのものを減らせます。
なお、HADOの出張イベントでも、電源とインターネットが使える環境、観戦用モニターの用意をお願いしています。
体を動かす体験型であっても、通信環境は前提になります。
運営スタッフは進行・技術・審判・受付に役割を分ける
当日の役割は進行・技術・審判・受付の4系統に分け、担当者名まで決めて共有しましょう。
誰の判断で試合を止めるのかが決まっていないと、トラブルのたびに進行が止まります。
| 役割 | 主な業務 |
| 総合進行 | 進行表の管理、判断と指示 |
| MC・実況・解説 | 開会と閉会、試合の見どころの説明 |
| テクニカル | 機材と回線の設営、トラブル対応 |
| 配信オペレーター | 映像の切り替え、配信の監視 |
| 審判 | ルールの判定、結果の記録 |
| 受付・誘導 | 参加受付、待機列と観客の案内 |
| 安全管理 | けがや体調不良への対応 |
社内で開催する場合は兼務が前提になります。
その場合でも、進行と技術と審判は別の人が担当したほうが安全です。
設営後には、タイムテーブルに沿った通しのリハーサルを行いましょう。
実況・解説と配信で観戦する人の楽しさをつくる
実況と解説は、ゲームを知らない人に見どころを伝える通訳のような役割を担います。
社内や地域のイベントでは、プロの実況者を招く方法のほかに、社員や地元の出演者が実況に加わる方法もあります。
慣れていない人でも、解説役を1人添えるだけで会話が生まれやすくなります。
配信は必ずしも一般公開にする必要はなく、社内限定や限定公開という選択肢もあります。
配信する場合は、各社の配信ガイドライン、BGMの権利、参加者の映り込みに関する同意の3点を確認しましょう。
私は建築学科で表現を学んだこともあり、人に伝わらないものは価値がゼロだと考えています。
HADOでも創業時から、動画で世界観を伝えることを大切にしてきました。
イベントも同じで、どう見せるかの設計が体験の価値を決めるものです。
賞品・参加費・配信は法令と各社の規約を確認する
賞品、参加費、配信の3つは、法令と各社の規約に照らして企画の段階で確認しましょう。
あとから内容を変えると、告知のやり直しが発生します。
- 賞品や賞金を出す場合は、景品表示法の景品規制に該当するかどうかという論点があります
- 参加費を賞金の原資にあてる形は、賭博に当たるおそれが指摘されています
- 参加費を取る大会や、料金を取ってゲームを遊ばせる形態では、風営法の確認が必要になる場合があります
JESUは、風適法や刑法、景品表示法などの論点を整理した大会開催マニュアルを公開しています。
一回限りの催しとして設けた仮設の設備であれば風営法の規制を受けない可能性があるとする法律事務所の解説もありますが、実際の判断は個別の事情によります。
自社で判断しきれない部分は、弁護士などの専門家か、実績のあるイベント会社に相談してください。
企業の社内イベントでeスポーツを企画するポイント

ゲーム経験の差が出にくい種目を選び、観戦する社員にも役割をつくると、全員が参加しやすくなります。
社内イベントで課題になりやすいのは、参加率の低さと社員間の温度差だからです。
ゲーム経験の差が出にくい種目を選ぶ
操作が単純で1試合が短い種目を選ぶと、ふだんゲームをしない社員も最初の1戦から加われます。
逆に、経験者向けのタイトルを選ぶと、観戦に回る人が増えて参加率が伸び悩んでしまいます。
選定の際は、次の点を意識してください。
- 説明が1分程度で済むルールかどうか
- 1試合が短く、入れ替えが利くかどうか
- ハンデや難易度の設定で差を調整できるかどうか
なお、法人が主催する大会では、前章のとおりタイトルごとに利用条件が異なります。
定番のタイトルほど、社内で決める前に条件を確認しましょう。
観戦・応援する社員にも役割をつくる
プレイしない社員に応援や実況、審査などの役割を用意すると、会場全体が同じ話題を共有できます。
役割がないまま座っているだけの人が多いと、イベントの熱量は一部に偏ります。
- 勝敗を予想する投票を行う
- 応援賞やナイスプレイ賞など、勝敗以外の表彰を設ける
- チーム紹介や写真撮影の担当を任せる
観戦席は、画面とプレイヤーの両方が見える位置に置きます。
プレイヤーと観客の距離が近いほど、声が出やすくなるためです。
部署や役職を混ぜてチームを組む
チームは部署や役職を混ぜて編成すると、ふだんの業務では生まれにくい会話が生まれます。
事前にチーム分けを発表し、練習や作戦会議の時間を設けると、当日を待たずに交流が始まります。
例えば、HADOで勝つためには、チームでの作戦会議とプレイ中の連携が欠かせません。
役職や部署を超えて協力する必要があるので、自然と会話が生まれます。
この「勝つために話さざるを得ない状況」が、交流を目的とした社内イベントと相性のよい理由です。
大日本印刷では、部署間のコミュニケーション活性化を目的に、会議室で50名規模のイベントを実施し、アンケートでは93%が満足と回答しました。
移動を伴わない形でも、交流の場は作れます。
オンライン参加の社員も楽しめる形にする
拠点が分かれている場合は、配信とオンライン参加を組み合わせて、参加の機会をそろえます。
会場に来られないことが不参加の理由になると、そのまま参加率に跳ね返るためです。
オンライン側には、チャットでの応援や投票、実況への参加といった役割を用意しましょう。
社内でeスポーツ大会を開く具体的な流れは、自社開催もプロ任せも思いのまま!社内イベントで盛り上がるeスポーツ大会でも紹介しています。
商業施設でeスポーツイベントを企画するポイント

大会だけでなく通りがかりでも遊べる体験枠を設け、回転数と見せ方まで設計することが集客の鍵です。
施設のイベントは、来館者数と館内の滞在時間で評価されるためです。
通りがかりの来館者も参加できる体験枠を設ける
事前エントリーの大会だけでは、たまたま館内を歩いている来館者を取り込めません。
大会と並行して、予約不要で遊べる時間帯を用意しましょう。
- 大会の合間に、誰でも参加できる体験タイムを差し込む
- 未就学児や親子向けの枠を時間帯で分ける
- 観覧は自由とし、立ち止まりやすい雰囲気をつくる
競技志向の参加者と、初めて触る来館者を同じ枠に入れると、どちらの満足度も下がります。
1回あたりの所要時間から体験できる人数を見積もる
1回の所要時間と同時に遊べる人数から、1時間あたりの体験可能人数を逆算します。
たとえば1回10分、同時に4人が遊べる構成なら、1時間あたり約24人、6時間の開催で約140人が目安になります。
この数字が出ると、整理券の枚数、待機列の長さ、必要なスタッフ数まで決まります。
説明と装着、入れ替えの時間も所要時間に含めてください。
1回の体験時間が読めると、当日の回転設計は立てやすくなります。
プレイの様子が見える配置で足を止める
プレイヤーの動きと画面が通路から見える配置にすると、来館者の足が自然に止まります。
壁で囲んで中が見えない作りにすると、体験の様子が伝わらず集客につながりません。
配置の際は、次の点を押さえましょう。
- 吹き抜けや広場など、上下階からも見える場所を選ぶ
- 大型モニターでプレイ画面を共有する
- 通行動線をふさがず、待機列の位置を先に決める
- 周辺テナントへの音量に配慮し、音出しの条件を事前に確認する
館内の回遊や会員登録につながる仕掛けを組み込む
体験の参加条件や表彰の特典を、館内の回遊や会員登録と結びつけて設計しましょう。
イベント単体で終わらせず、施設の目的につなげるためです。
- 対象店舗のレシート提示や公式アプリの登録を、体験の参加条件にする
- スコアランキングの上位に、館内で使えるクーポンを用意する
- 撮影スポットを設け、SNS投稿を促す
HADOでは、CPUやシールドをカスタマイズして、地域や企業の魅力を反映させることもできます。
施設のキャラクターやロゴを体験に取り込むと、話題づくりと施設のPRを同時に進められます。
なお、景品や参加費を設定する場合は、前章の法令と規約の確認に戻ってください。
商業施設で使える体験型の企画は、ショッピングモールのイベント企画!集客・回遊・滞在を伸ばす体験型12選でも紹介しています。
自治体・地域団体でeスポーツイベントを企画するポイント

世代を問わず参加できる種目を組み合わせ、学校や地域団体と連携しながら継続開催を目指しましょう。
行政や地域の事業では、特定の層だけが楽しむ形になると評価されにくいためです。
画面で遊ぶ種目と体を動かす種目を組み合わせる
画面の中で競う種目だけでは、参加する層がゲームに慣れた人へ偏りやすくなります。
体を動かす種目を組み合わせると、ゲームに縁のなかった人にも入り口ができます。
福井商工会議所は、会員企業の交流イベントとして「会員交流eスポーツ大会」を2年連続で開催しました。
当初はeスポーツだけでの実施を検討したものの、対象が狭まると考え、ARスポーツのHADOとぷよぷよeスポーツの2種目で開催しています。
2023年度は20〜30代の会員を中心に31チーム138名が参加し、午前にレクチャー、午後にトーナメントという進行で行いました。
競技に参加しない人向けには、eスポーツの体験コーナーや、会員によるバンドやチアリーディングの出演も用意しています。
出典:HADO公式ニュース「企業対抗のeスポーツ大会で2年連続HADOを導入」(福井商工会議所は自治体ではなく、地域の経済団体です)
東京都と東京eスポーツフェスタ実行委員会が開催する「東京eスポーツフェスタ2026」でも、競技大会や関連産業の展示会に加えて、ビジネスセミナーからファミリー向けの体験・学習企画までを組み合わせています。
学校・地元企業・地域団体と連携して企画する
自治体が単独で抱えるより、学校や地元企業、地域団体と役割を分けたほうが企画は進みます。
運営の負担が分散し、参加者の募集も広がるからです。
長野県中野市は、2026年7月に市のeスポーツ事業として「学校間交流HADO体験会」を実施しました。
中野立志館高等学校と中野西高等学校の生徒を対象に、学校間の交流とキャリア教育を兼ねた内容で、本年度開催予定の「第2回中野市eスポーツフェス」でのHADO大会に向けた取り組みとして企画されています。
当日は学生スタッフが運営を担い、高校の文化祭にあわせて一般向けの体験会も行われました。
出典:中野市「中野市eスポーツ事業『学校間交流HADO体験会』」、株式会社meleapプレスリリース
福井の事例でも、地元テレビ局の担当者が県のeスポーツ団体の事務局長を兼ねる立場から企画に加わりました。
地域のeスポーツ団体やメディア、商工団体は、企画の相談先として有力です。
なお、任天堂のように、自治体が主催するeスポーツ関連イベントへの個別許諾を行っていないと明示している会社もあります。
タイトルの選定は、連携先を決める前に確認しておきましょう。
多世代交流や健康づくりなど地域の課題と結びつける
参加者の楽しさに加えて、多世代交流や健康づくりといった地域課題とのつながりを持たせます。
事業として継続するには、担当課の目的と結びついている必要があるためです。
神奈川県は、主にシニア層を対象としたeスポーツの全国大会を開催し、ご当地キャラクター同士の対戦カードや、子や孫の世代も楽しめるプログラムを用意しました。
会場には、出場選手以外もeスポーツを体験できるコーナーや、認知症未病改善のPRブースも設けています。
出典:神奈川県「県内初のシニア向けeスポーツの全国大会を開催!」
健康づくり、居場所づくり、若年層の定着など、担当課ごとに狙いは異なります。
企画書では、イベントの内容よりも先に、この結びつきを書いておきましょう。
単発で終わらせず継続開催を前提に設計する
初回から、次回につながる指標と運営の記録を残す前提で企画すると、行事として定着します。
1回で終わると、ノウハウも参加者のつながりも残りません。
福井商工会議所の大会では、2年目の参加者の7割以上がリピートとなり、恒例行事にしたいという声につながりました。
中野市のように、第2回に向けたプレイベントとして体験会を重ねる進め方もあります。
大会に向けて、プレイヤーが入念にトレーニングをする姿を見ることも珍しくありません。
私にとって、これは非常に印象的な光景です。
競技として続ける人が現れると、運営を手伝う人も育ち、次回以降の負担が軽くなります。
運営マニュアル、写真、アンケート結果を残しておけば、担当者が変わっても引き継げます。
来場者が気軽に遊べる「体験型eスポーツ」とは

来場者がその場で気軽にプレイでき、観るだけでなく自ら参加して楽しめるeスポーツの開催形式です。
集客や多世代交流を目的とする場合、競技大会型よりも幅広い層を巻き込めます。
来場者がその場でプレイできるeスポーツの開催形式
体験型eスポーツは、事前のエントリーや練習を前提とせず、来場者がその場で遊べる形式を指します。
画面の前で遊ぶゲーム体験会と、ARなどの技術を使って体を動かす体感型の両方が含まれます。
商業施設の集客イベント、地域のお祭りや自治体の事業、社内イベントの余興など、採用される場面はさまざまです。
勝敗よりも「初めて触れた」という体験そのものを価値に置く点が、競技大会型との大きな違いになります。
競技大会型との違い
違いは、参加のハードルの高さと、当日の運営で何を重視するかという点に表れます。
| 項目 | 競技大会型 | 体験型 |
| 主な参加者 | 事前に申し込んだ選手 | 来場者、通りがかりの人 |
| 参加のハードル | 高め。経験があると有利 | 低い。その場で説明を受けて遊べる |
| 盛り上がり方 | 勝敗、実況、観戦 | 初めての体験、歓声、写真や動画の共有 |
| 主な準備 | エントリー管理、ルール、審判、配信 | 回転数の設計、待機列、説明役 |
| 向いている目的 | 社内交流、コミュニティ形成、話題づくり | 集客、館内回遊、多世代交流 |
どちらか一方に決める必要はありません。
福井商工会議所の事例のように、大会と体験コーナーを併設すれば、競技を楽しむ人と初めて触れる人の両方を同じ会場で迎えられます。
体験できる人数はスペースと機材数で決まる
体験型の集客力は、確保できるスペース、機材の数、1回の所要時間の3つで上限が決まります。
告知でどれだけ人を集めても、この上限を超えると待ち時間だけが伸びてしまいます。
企画の段階で確認したい点は次のとおりです。
- プレイスペースの広さと天井の高さ、機材置き場と待機スペース
- 同時に遊べる機材の数と、入れ替えにかかる時間
- 電源の容量と通信環境
- 説明役のスタッフを何人配置できるか
- 動きを伴う体験の場合は、服装の案内や保険の手配
体を動かすコンテンツでは、ヒールやサンダルでの参加を避けてもらうなど、当日の案内も準備の一部になります。
ARで体を動かす体験型eスポーツ「HADO」

HADOは、ヘッドセットとアームセンサーを着けて、体を動かしながら対戦するARスポーツです。
腕を振ってエナジーボールを放ち、シールドで身を守りながら得点を競います。
ルールが単純なので、初めての人でも説明を受ければすぐに遊べます。
現在は世界40カ国に展開し、累計で約1,000万人が体験しました。
法人の利用は1,000社、教育現場では2,000校以上で活用されています。
HADOは性別や年齢を問わずプレイできます。
エナジーボールの速さや大きさ、シールドの強さといったスキルはカスタマイズできるので、運動能力や体格によるハンデもありません。
HADO ARENAだけでなく、スポーツジムのスタジオやイベント会場など、ミニマムなスペースと機材でプレイできる点も、導入しやすい理由だと考えています。
出張イベントでは、自社の会議室やホテル、レンタルスペースでの実施に対応し、専属のプランナーが場所探しから企画、設営、進行、撤収まで担当します。
設営と撤去にはそれぞれ2時間程度を見込んでいます。
主催者側には、電源とインターネット環境、観戦用のモニターをご用意いただきます。
一方で、向かない場面もあります。
体を動かすため一定の広さが必要で、狭い会議室ではコートを設置できません。
自宅から参加するオンライン大会のように、参加者がそれぞれの端末で遊ぶ形にも対応できません。
会場の条件が合うかどうかは、企画の早い段階で確認してください。
出張と店舗それぞれのプラン内容や利用シーンは、HADOのイベント利用のページで確認できます。
eスポーツイベント会社の選び方

規模と目的に合う実績があり、許諾の確認から回線・進行まで任せられる会社を選ぶことが大切です。
eスポーツイベント会社は、企画の立案から機材と回線の手配、実況者の手配、配信、当日の運営までを請け負います。
イベントの規模と目的に合う得意分野の会社を選ぶ
会社ごとに得意な規模と領域が違うため、まずは自社のイベントに近い実績を持つ会社を探します。
プロ向けの大会に強い会社と、初心者中心の社内イベントに強い会社では、設計の考え方がまったく違うからです。
| タイプ | 特徴 | 向いているイベント |
| 大規模な大会制作型 | ステージ演出や大規模な配信に強い | 社外に発信する大会、数百人以上の動員 |
| 施設・スタジオ保有型 | 自社の会場と設備で完結できる | 懇親会、周年イベント、配信中心の大会 |
| 社内・地域イベント型 | 初心者向けの進行や地域行事の実績が豊富 | 社内懇親会、地域の祭り、学園祭 |
| 旅行・総合イベント型 | 移動や宿泊、懇親会まで一括で手配できる | 社員旅行と組み合わせた大会 |
| 体験型コンテンツ提供型 | 体験用の機材と運営スタッフを提供する | 商業施設の集客、地域や社内の体験会 |
問い合わせの前に、目的、想定人数、希望日時、会場の候補、予算の上限、配信の有無を整理しておきましょう。
同じ条件で2〜3社に相談すると、提案の違いが比べやすくなります。
ゲームタイトルの利用条件まで確認してくれるかを見る
タイトルの利用条件や申請の要否まで一緒に確認してくれるかどうかは、重要な判断材料です。
ここを主催者任せにする会社もあり、後から開催内容の変更を迫られる場合があります。
- 法人主催の大会を、どのタイトルで運営した実績があるか
- 申請が必要な場合、どれくらいの期間を見込むか
- 配信を行う場合のガイドライン確認を誰が担当するか
この3点を質問すると、経験の有無が見えてきます。
回線や配信のトラブルに対応できる体制かを確かめる
当日の不安の多くは通信と機材で起きるため、予備の回線とリハーサルの有無を確認します。
復旧までの時間が長引くと、進行全体が崩れるからです。
- 予備の回線や予備機を用意するか
- テクニカル担当が当日常駐するか
- 事前の会場下見と通しリハーサルを行うか
- トラブル時に誰が判断し、どう再開するかを決めているか
ゲームに慣れていない参加者を巻き込む進行実績を確認する
初めて遊ぶ人が多い場ほど、説明の丁寧さやMCの進め方といった進行の設計が満足度を左右します。
確認したいのは、社内向けや地域向けの事例を公開しているか、初心者でも遊べるタイトルを提案できるか、実況やMCの手配に対応できるか、体験型のコンテンツも選択肢として持っているかという点です。
あわせて、見積もりの内訳と追加費用の有無も比べておくと、総額の見通しが立ちます。
イベント会社の選定基準や費用の考え方は、社内イベント会社の選び方|目的別の選定法・費用相場・失敗事例を解説でも詳しく紹介しています。
eスポーツイベントの企画に関するよくある質問

eスポーツイベント企画会社とは何をする会社ですか
eスポーツイベント会社とは、ゲーム大会や体験会の企画から機材・配信・当日運営までを請け負う会社です。
企画の立案、ゲームタイトルの選定、機材と回線の手配、実況者やMCのキャスティング、デザイン制作、当日の進行まで、必要な範囲だけを依頼できるところが多くあります。
自社で会場や配信スタジオを持つ会社もあれば、機材の貸し出しを中心とする会社もあります。
eスポーツイベントにはどのような企画例がありますか
目的別に整理すると、社内交流、集客、地域交流の3つに分けられます。
社内交流では、部署対抗の大会、拠点をつないだオンライン大会、社員が実況を担当する大会が挙げられます。
集客では、予約不要の体験会、スコアランキングと館内特典を組み合わせた企画、親子で参加できる体験会が有効です。
地域交流では、学校間の交流戦、ご当地キャラクターが登場する対戦企画、画面で遊ぶ種目と体を動かす種目を組み合わせた大会という形もあります。
eスポーツイベントは儲からないというのは本当ですか
主催者の立場によって、評価の軸が変わります。
社内イベントや自治体の事業では、入場料やスポンサー収入ではなく、参加率や交流、集客といった成果で評価するのが一般的です。
市場全体を見ると、JESUの推計では2024年の国内eスポーツ市場規模は約161億円で、イベント運営と、大会やチームへのスポンサー費用が、それぞれ全体の35%以上を占めています。
興行として収益を狙う場合は、チケット、スポンサー、配信、物販など複数の収入源を組み合わせた設計が必要です。
ゲームに詳しくない担当者でも企画できますか
企画できます。
担当者に求められるのは、ゲームの知識よりも、目的と参加者像を定める役割です。
タイトルの選定や機材、配信といった専門的な部分は、イベント会社に相談すれば提案を受けられます。
参加者の多くがゲームに慣れていない場合は、操作が単純な種目や、体を動かす体験型を選ぶと、担当者自身も当日のイメージを持ちやすくなるでしょう。
eスポーツイベントの準備はいつから始めるべきですか
開催日から逆算して決めます。
目安になるのは、タイトルの利用申請、会場の確保、告知の期間の3つです。
申請に日数を要するタイトルもあり、コナミデジタルエンタテインメントの『プロ野球スピリッツA』の大会ガイドラインでは、開催予定日の1か月前までの申請を求めています。
会場の押さえと告知の期間を加えると、早く動き出すほど選択できる会場とタイトルの幅が広がります。
まとめ
eスポーツイベントの企画で押さえるべき点を整理しました。
- 目的と成果指標を先に決め、形式・タイトル・会場・運営体制の順に固めます
- タイトルの利用条件は、主催者が法人か自治体かで扱いが変わる場合があります
- 会場は、プレイ・観戦・待機の3つのスペースで考えましょう
- 企業は経験差への配慮、商業施設は回転数と見せ方、自治体は連携と継続が鍵になります
- 競技大会型が合わない場合は、体験型という選択肢も検討できます
次の一歩として、目的と成果指標、参加者像、開催形式の3つを書き出し、企画書の骨子を作ってみてください。
そのうえで条件の近い実績を持つ会社に相談すると、費用感と実現できる範囲がはっきりします。
私は企画を考えるとき、いつも「それは面白いのか?」と自分に問い返しています。
エンターテインメントである以上、面白くなければ価値はゼロだと考えているからです。
参加する人が心から楽しめるかどうかを判断の軸に置くと、企画で迷う場面は減ります。
社内イベントや商業施設の集客、地域のイベントで、体を動かす体験型を取り入れたい場合は、ぜひ全国への出張と店舗での開催に対応したHADOのイベント利用をご覧ください。
